7月 19 2010
心の病①
私が前の事務所でGTS心の研究所をやっていたとき、うつ病の人が顔を出したことがあります。
その人は十年位前からうつ病で、あちこちの病院に行き薬やら電気治療やらしてもらい、だいぶ症状もよくなったといいます。それでも心が少し落ち込むとすぐ死にたくなり、特に雨の日は憂鬱になって死ぬことばかり考えているということでした。あちこちの病院に行ったわりには、あまりうつ病がよくなっていないようにも見えました。
その人は青白い顔で入ってきて私の前に座りました。年は私と同じくらいでしょうか、うつ病で仕事をしていないのでお金はないといいます。お金がない人から金を取ろうとしても無理なので、お金ができたらまた持ってきてくださいといって、その人の話を聞くことにしました。
私が「なぜうつ病になったのですか」と聞くと、その人はいきなり「それは父のせいです」といいます。それからその人は一時間ほど自分の話をされました。
その人の話を要約すると、その人は会社員をしていたのですが、自分の父が大きな会社を経営しており、その父の務めもあって会社員をやめ父の会社に入ることにしたそうです。
父はワンマンで人の話を聞かないので、父の会社に入るときは不安があったといいます。それでも仕事をしていくうちに、身内ということもあって数年で常務取締役までなります。身内ということを差し引いても、この人は仕事がよくできたようでした。
仕事もよくできたということもあり、給料もたくさんもらっていて三十台の半ばで、東京の五千万位するマンションを買い、そこで奥さんと子供さん(娘)一人の三人で暮らしていたといいます。そればかりかこの人はボートの免許も持っており、ボートだったかヨットだったか忘れましたがそれも持っていたそうです。ずいぶん贅沢な生活をしていられたようですが、仕事の方はあいかわらず父がワンマンで、父親とはうまくいっていなかったそうです。
そのうちにこの人はやはり父とはうまくできないということで、自分で独立して仕事を始めることにしたのです。独立して仕事を始めて自分の会社が順調に業績を伸ばし始めたころ、父の会社が業績を落とし始めます。最初この人の父親は銀行で資金を借りていたのですが、それも業績が一向によくならないということで、銀行も資金を貸してくれなくなりました。
それでこの人の父は、この人のところに金を借りにきます。自分の父親ということもあり、何度かお金を貸し保証人にまでなったのですが、結局この人の父の会社は倒産してしまいました。仕事がよくできるこの人がやめたというのも影響していたのでしょう。
それでこの人は父親の保証人にまでなっていたので、この人の会社も金が回らなくなり連鎖倒産してしまいます。それでもこの人はもう一度やり直そうと、寝る間も惜しんで働いたのですが、そのうちに家族も離れ友達にも裏切られ、それでうつ病になっていったということでした。
天国から地獄へ、絵に描いたような転落の人生を歩かれたこの人は、なぜこのようになってしまったのでしょうか。
この人の言うように原因はすべてこの人の父親にあったのでしょうか。
私は質問しました。「あなたのお話にお母さんは一度も出てこられなかったのですが、お母さんは何をしていられたのですか?」
「母は、父がワンマンで外に女までつくってしまったので、もう何を言っても無駄と父の相手をしませんでした」
その話を聞き私は次のように話しました。
「あなたの病気はあなたの考えを少し変えれば治りますよ」



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